俺様彼氏はShy Boy?


上目遣いのあたしに、冷たい視線を注ぐ。


「だから、余裕なおまえがムカつくって言っただろ?」


もしかして。

海斗は思った以上に緊張してるのかもしれない。


いつもの偉そうで余裕ぶった顔の笑みを作ることの出来ないくらい。

あたしと同じように。

ドキドキしすぎて、自分を制御できなくなってるかもしれない。


「…余裕なんて、ないよ」


そう言って、海斗の胸に顔を埋めた。


海斗の匂いにドキドキするしクラクラするけど。

でも、その温もりとちょっと速めの鼓動にホッとする。

海斗も同じだったらいいのに。


ゆっくりと海斗の背中に手を回して抱きつくと。

同じように海斗の手もあたしの背中に回り抱きしめてくれる。


ドクン、ドクン、と心地良いリズム。

あったかい身体。



どうして海斗が“無理”と言ったのか。

ハッキリしたことはわからないけれど。


それでもいい。


この温もりが、あたしを抱きしめてくれるのなら。

そばにいられるだけでいい。



だって、あたしは海斗が好きだから。


海斗があたしを突き放さない限り。

あたしは海斗から離れることなんて、できないんだ。


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