俺様彼氏はShy Boy?


今年のケーキは、あたしの好きなチョコレートケーキだった。

海斗のお母さんには何度かしか会ったことのないのに。

前になんとなく言った言葉を覚えていてくれた。


「比奈ちゃんはチョコレートケーキが好きなのよね?」


そう言って微笑むお母さんは、海斗が笑った時と同じ笑顔で。

その優しい雰囲気に、思わず目頭が熱くなってしまう。

ウルウルと瞳を潤ませるあたしを見て海斗は呆れた顔をし、あたしの頭に手を乗せた。


「海斗は全然食べてくれないから、作ってもつまらないの」

「じゃあ、作んなよ」

「年の一度の誕生日くらい、ケーキ作りたいじゃない」

「そんなの、おまえがただ作りたいだけだろ…」

「親に向かって、おまえってなんなの!?」

「はいはい、申し訳ございませんでした。お母様!!」

「海斗!!」


そんな言い合いも、どこか微笑ましく見えるのは。

海斗のお母さんの声も瞳も優しさを含んでいたのがよくわかるから。

海斗のことを愛してるってわかるから。

そうじゃなきゃ、毎年あんなに美味しそうなケーキを作れるわけがない。


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