俺様彼氏はShy Boy？

「…それにしても」


未来の言葉とともに、チラッと向けられた視線。


「さらにダークオーラを纏ってるように見えるのは気のせいじゃないよね？」


気のせいじゃ、ないと思うよ。

だけど、それってあたしのせい？


「…仲直りしたほうが良いんじゃない？」


未来が本気で心配してくれてるのもわかるけど、あたしは曖昧に笑みを浮かべるだけで頷くことはできなかった。


ゆっくりと後ろを振り返ると。

未来の言うとおり、さらに機嫌の悪くなった海斗がいて誰も近づけないでいる。

ダークオーラ、まさにそんな真っ黒なものが海斗を包んでいるように見えて。

話しかけることも、目を合わせることも出来ない状態なのに。


ただ一人、そんな海斗を見ても動じない美佳は、ある意味最強なのかもしれない。


美佳が海斗に近づいていって、何かを話している姿を目にする。

美佳の甘ったるい猫なで声が微かに聞こえてくる。


クスッと笑った後、海斗の耳元に顔を近づけて。

その瞬間に、海斗の顔が少しだけ緩んだように見えた。


美佳は相変わらす笑顔けれど。

まさか海斗まで、そんな顔をするなんて思っても見なくて。

不機嫌だった海斗を一瞬で変えてしまう美佳の存在が、あたしに恐怖を植え付けた。

チラッとこっちを見た美佳の勝ち誇った笑み。

ズキン、と心臓に突き刺さる。