俺様彼氏はShy Boy?
「未来、行こ!?」
「えっ…、う、うん」
手に持っていた荷物をギュッと握り締めて、未来の腕を掴んで教室から出て行こうとした。
未来もきっと、海斗と美佳が話しているのを見たんだと思う。
引きつったままの顔をあたしに向けると。
「いいの?」
掴んだ腕をグイッと引っ張られて、前に進もうとしていた足を元に戻して振り返る。
「いいの。帰ろう…」
未来の顔は見ることができなかった。
変わりに、掴んだ手に力が加わった。
「海斗くんの先約、美佳だったんだね…」
「うん」
「知ってたの?」
「うん、海斗から聞いたから」
だから大丈夫だよ。
そういう意味も込めて、あたしは未来に笑いかけた。
すごく情けない顔で笑っているんだろうな、と自覚はあった。
頬が引きつってて、不恰好な笑みを作っているのもわかってた。
はぁ…と、未来から小さな溜息が吐き出されたのもわかってた。
「よし。じゃあどっか、寄って帰ろ!」
うん、そうしよう。と未来は自分で言って自分で納得して。
あたしの掴んでいたはずなのに、今度は反対に手を掴まれてそのまま引っ張られるように教室を出て行った。