俺様彼氏はShy Boy?

「あたし、新しいリップがほしかったんだよね」


だから付き合ってよ、と微笑む未来の優しさに、鼻の奥のほうがツーンとした。


「リップ買ってから洋服も見に行かない? そろそろ夏服が欲しいと思ってたから」


未来の提案に、まだ少し引きつったまま笑顔で頷いた。


「あたしも…欲しいと思ってた」

「じゃあ、決まり!!」


海斗には寄り道するなよって言われたけれど。

そんなの知らない。

家に帰ったって、海斗と美佳のことばかり考えちゃいそうで。

だから、未来のお誘いは本当にすごく嬉しかった。


「ありがとね、未来」


どんな服が欲しいとか、今の流行は何だとか。

そんな話をしながら、目的地のショッピングモールを目指していく。

目的地に着くころには、気持ちもずいぶん落ち着いていて。

自然と笑顔でいられた。


「マキシのワンピが欲しいんだよね」

「あたしみたいなチビには、マキシ丈は似合わないんだよね」


未来はいいなあ…と、羨ましそうな視線を送ると。


「でも比奈はミニが似合うじゃない? そっちのほうが羨ましいよ」


いや、未来だってミニ似あうじゃない、と内心思いながらも。

本気で言ってる未来を見てたら可笑しくてクスクスと笑ってしまう。


「結局は、ないものねだり?」

「ふふ、そうかもね」


二人で顔を合わせて、また笑った。

未来といると、こうやって笑える自分がいる。


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