俺様彼氏はShy Boy?
「あたしの勘違いかもしれないじゃない」
そう言葉にして、自分に言い聞かせてみる。
鏡に映る顔は、酷く歪んだ笑みを作っている。
「だって、海斗と “一線を越えない”って約束してたんだし」
それを守る約束で、女友達と遊ぶことを許していたはずだもの。
今まで、どんなに俺様だって約束だけは守ってきてくれた海斗だったから。
だから、今回のことだってあたしの勘違いの可能性だってある。
よく言われるじゃない。
『比奈は早とちりしすぎ』って。
昨日、海斗は美佳と一緒に遊ぶことをちゃんとあたしに伝えてくれた。
それは、あたしに心配させないため。って思っていいよね?
頭の中で、いろんなことを考えて。
結局は、海斗のことをまだ信じたいという答えにたどり着く。
「どんだけ…海斗のこと好きなの…」
その自分の言葉に、苦笑するしかなかった。
もう自分でも、この気持ちは手に負えない。
湯気で曇った鏡を手のひらで擦ると、もう一度自分の顔を映す。
「ひどい顔……」
寝不足で腫れた目、引きつった口許。
こんなあたしだから、海斗は女として見てくれてないのかもしれない。
女として見てもらえないのなら、見てもらえるようにすればいい。
ほかの女になんていけないくらい、あたしに夢中になってくれるように。
あたしがもっと頑張ればいい。
あたしが海斗以外考えられないように。
海斗も、あたしでいっぱいになってしまえばいい。