俺様彼氏はShy Boy?
いつもより念入りにブローをして。
学校へ行く時はストレートのままの髪を、アイロンで巻いていく。
そんなに上手くはない。
それでも、鏡の中の自分が少しずつ変わっていく。
いつも、マスカラとリップくらいのメイクも。
美佳みたいにフルメイクにして、まるで別人だ。
制服のブラウスもネクタイをしないで第二ボタンまで開けて。
スカートも、いつもより短くして。
出来上がった自分は、ほんの少しだけ海斗の周りにいるハデな女の子みたいで。
思わず笑ってしまった。
何やってるんだろう、って。
そんなことをしている自分がバカみたいで。
「こんなんで、海斗を引き止めていられるなら…良いのに……」
そんな単純なことじゃないことくらい、わかってる。
だけど、美佳に負けたくないって、一人張り合う自分もいた。
「比奈…どうしたの!?」
学校に着くなり、あたしの周りに友だちが集まってくる。
まだ未来は来てないみたい。
海斗の姿も見当たらなくて、あたしは教室の中をキョロキョロと見渡した。
それに気づいた友だちは。
「海斗くんならまだ来てないよ?」
笑顔で教えてくれた。
だからあたしも『そうなんだ』と笑顔で返した。