俺様彼氏はShy Boy?
「早起きしちゃって暇だったから」
瞳を細めて笑みを作るあたしに怪訝そうな視線を向けたことに。
あたしはあえて気づかないフリをする。
だって、そうでもしないと。
勘のいい未来には、きっとバレてしまうから。
なんて、そんなの時間の問題だってわかってはいるのだけれど。
未来も未来で、みんながいる前ではいつもどおりに接してくれるから。
それだけで、なんだかホッとした。
話が盛り上がる中、チラチラと視線を向けるのは。
美佳と海斗の席。
まだ二人の姿はない。
昨日、真っ暗な部屋の中で光るケータイは、海斗からの着信だった。
ずっと放置されたままで、それに気づいたのは家を出る直前だった。
ディスプレイに海斗の名前を見つけた瞬間、嫌な緊張で張り詰めていた糸がプツリと切れたような気がした。
海斗からの着信、5件。
ペタリとその場に座り込んでしまったほど、ずっと身体が緊張していたらしい。
今日、海斗に会ったら怒られるだろう。
電話ください、なんてメッセージを残してたくせに。
電話に出なかったこと、かけ直さなかったこと。
きっと不機嫌な海斗があたしの前に現れて。
『どうして出なかったんだよ』
顔をしかめながらあたしのところに来てくれるだろう。
そんな海斗を見て、やっぱりあたしの勘違いだったのかもしれないと。
そうでも思わなければ、真っ黒な感情に飲み込まれてしまいそうだった。、