俺様彼氏はShy Boy?
すれ違い
「…比奈?」
両手で耳を押さえたまま座り込むあたしの肩をポンと叩く。
あたしの名前を呼ぶその声に、あたしはビクンを肩を震わせた。
「どした? 気分でも悪いのか?」
その言葉に何も答えずに、ただ左右に首を振るだけで。
顔を上げることができなかった。
廊下のど真ん中で座り込むあたしは、相当迷惑な存在だった。
通り過ぎる生徒たちは、あたしたちを変な目で見ては、ボソボソと何かを言ってるような気がする。
こんな惨めなあたしのことを見て、クスクスと笑われてるような気がする。
小さく震えて余計に顔を上げられなくなってしまったあたしを隠すように。
あたしの前に座り込んで優しく声をかけてくれたのはミッチャンだった。
「大丈夫か?」
優しくて温かい声。
よく知ってる、ホッとする声。
ゆっくりと顔を上げると。
心配そうな顔をしたミッチャンと目が合った。
「…泣いてるの?」
真っ赤な目をしたあたしを見て、顔を歪めて。
「誰かに何かされたのか?」
あたしの肩を掴んで、あたしの顔を覗き込んでくるミッチャンから。
視線を逸らして、また俯いた。