俺様彼氏はShy Boy?


「ここじゃ邪魔になるから……立てるか?」


あたしの腕を持って立ちあがらせる。

野次馬で集まった人たちに『見るな』と一喝すると。

あたしの肩を抱いて周りから隠すようにその場を立ち去った。


俯いたまま。

自分の力で立ってるのもやっとなくらいフラフラで。

ミッチャンに抱きしめられて連れてこられたのは保健室。


保健室の入り口には『ただいま不在』のプレートがユラユラと揺れていた。

ガラガラ…と入り口の開く音が、廊下に響く。

予鈴が鳴った校内は殆んど人がいなくて。

保健室の中はさらに静寂に包まれていた。

微かに消毒の匂いがした。


ゆっくりとベッドの上に座らされて。

ミッチャンはあたしの前に跪いて、あたしを下から覗き込む。


「どうした?」


ミッチャンの優しい声に、視界がユラユラと揺れていく。

微かに震えるあたしの手に、ミッチャンの温かい手を重ねてきた。


泣きたくなんてなかったのに。

ミッチャンの優しすぎる声が、あたしの涙腺を破壊していった。


「……ミッ、チャン…」

「ん?」

「あたし…――」


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