俺様彼氏はShy Boy?
そこまで言いかけたとき、バンッと何かを叩いた音が聞こえて。
身体がビクンと震え強張って。
出かけた言葉を発することなくそのまま飲み込んでしまう。
「二人で何してるわけ?」
その声に、あたしの心は動揺する。
「手なんか握って、誰もいない保健室で。いったい何やってんの?」
怒鳴るわけでもなく冷静なその声は、氷のように冷たくて。
その声の主を見ることができなかった。
俯いたまま、ミッチャンに握られた手にギュッと力を入れると。
ミッチャンはあたしの手を離すことはなく、顔だけ後ろに振り返った。
「…海斗」
ミッチャンが呼ぶ名前に、また過剰に反応してビクッと震える。
「どうしてここに…?」
「その言葉、そのまま返すよ」
「俺は、別に…比奈が体調悪そうだったから」
「だから? ベッドで手を握って介抱か?」
ゆっくりと近づいてくる海斗に、あたしはミッチャンの陰に隠れたくて小さく身体を丸めた。
でも、そんなことで隠れられるわけなくて。
逆に、そんな行動をするあたしを不審に思った海斗は眉間にシワを寄せて顔がどんどん引きつっていく。