俺様彼氏はShy Boy?
「手、離せよ!!」
海斗の怒鳴り声が保健室に響き渡って、
その声に、ミッチャンの手があたしの手から離れていった。
急にあたしの手から離れていった温もりに、少し動揺してしまう。
今ここで、海斗をどう見たらいいのかわからなかった。
ミッチャンは怯えるあたしに優しく微笑んで、頭にポンッと手のひらをのせた。
「じゃ、俺行くな?」
俯いたままのあたしにそう囁いて、頭にのった手がゆっくりを離れていった。
「…ミッチャン、やだ」
海斗と二人きりにしないで。
そう言おうと口を開こうとしたけれど。
海斗の冷たい視線に、その言葉を飲み込むしかなかった。
今の海斗が機嫌が悪いことは一目瞭然だし。
このままミッチャンを引き止めてしまったら、ミッチャンに迷惑がかかっちゃう。
心配そうな瞳であたしを見下ろすミッチャンに。
大丈夫だよと、どうにか笑顔を作った。
引きつってないかな? とか思いながら。
なるべく不自然にならないように。
ニコリと笑うと、ミッチャンはフッと笑みを漏らして保健室を出て行った。
『大丈夫だよ』
口パクでそう言われて。
コクンと頷くけれど、スカートを握った手には力が入る。
どうにか震えないようにと、拳を握った。