俺様彼氏はShy Boy?
保健室に残された、あたしと海斗。
急に静けさに包まれて、冷たい空気があたしたちの周りを纏った。
何を話したらいいのか。
何を言ったらいいのか。
今のこの状況をどうしたらいいのかわからずに。
海斗を視界に入れないようにと俯いて。
膝の上でギュッと拳を握ったまま。
視界に入るその手が細かく震えていて、この場から逃げ出したい衝動にかられる。
ミッチャンは“大丈夫”だと言った。
その言葉に頷いてはみたけれど、全然…大丈夫なんかじゃない。
怖い。
海斗を見るのが…怖い。
そんな怯えた態度のあたしを見て。
海斗の機嫌がさらに悪くなっていくのが、その場の空気でわかってしまう。
不機嫌オーラ全開で、あたしの前に立つ海斗は、何も言葉を発してはくれなくて。
だからと言って、あたしから何を言ったらいいのかわからなかった。
今ここで、ミッチャンのことを弁解する気にもならなかったし。
あたしは何も悪いことはしていない。
海斗が、どうしてこんなにも不機嫌になるのかわからない。
「充と何やってた?」
この重苦しい沈黙を破ったのは、海斗だった。
だけど、その言葉はその場の空気をさらに重たくしていくような気がした。