俺様彼氏はShy Boy?


止まったはずの涙がまた、瞳にたまってくるのがわかった。

キリッと睨みつけた、あたしの瞳には今にもこぼれそうな涙。

その先には、今にも泣き出しそうな海斗……


ずるい。

そんな顔、ずるすぎるよ。


この空間に一緒にいることが耐えられなくて。

あたしはその場所から逃げだしたくてその場に立ち上がった。

だけど、海斗はそんなあたしをすんなり帰すわけがなかった。


「待てよ」

「いやっ」

「話聞け!!」

「聞かない!! 今、何聞いても信じられない!!」


嘘。

海斗に「誤解なんだ」と言われたら。

あたしはバカだから、それを信じてしまうかもしれない。


だから、何も聞きたくない…


「離して!!」


掴まれた腕を思い切り振りほどいて、あたしは保健室から出て行った。


「俺は別れないからな!!」


海斗の怒鳴り声が、背中から聞こえてくる。


その声を聞きたくなくて耳を塞いだけれど。

海斗の声はしっかりと聞こえてしまう。

だからなのか、あたしの涙は堰を切ったようにあふれ出す。



『俺は別れないからな』



どうして、海斗はそんなことを言ったのか。

海斗が何を考えているのか。

まったくわからなかった。


< 215 / 479 >

この作品をシェア

pagetop