俺様彼氏はShy Boy?
結局また図書室に戻ってきて、そこで未来が濡らしてきたタオルで腫れた目を冷やした。
腫れて熱を持った目にはひんやりとして気持ちがいい。
これで少しは腫れが引いてくれるだろうか。
こんな顔、海斗には見せたくなかった。
もちろん美佳にも。
あたしを心配してくれたミッチャンにも。
「…あたしね」
あたしのそばにいて何も言わない未来に、あたしのほうから話しかけた。
未来には泣いた理由を話さなくてもわかってるはず。
海斗が関係してるんだって。
「…海斗に、別れるって言った」
だけど、あたしの言葉に『えっ…』と小さな声が聞こえた。
「わ、別れる…って……」
あまりの急展開についていけないとでも言うような声色に、あたしはそっとタオルを外して未来を見遣る。
「どうしてそうなるの? ちゃんと話したの?
美佳のことだって、比奈の勘違いかもしれないじゃない…」
「そうかもね。勘違いかもね」
「なら…」
「海斗に聞いても、答えてはくれなかった。
だけどね、あの海斗が動揺してたの」
あの時一瞬、目を逸らされた。
その瞳が、戸惑いなのか焦りなのか、微かに揺れたのがわかった。
それがやましいことがあった証拠だって、思わずにはいられなかった。