俺様彼氏はShy Boy?
「海斗をあたしから奪うって」
そう言って情けなく笑うあたしに、未来は奪ったはずのタオルを顔に押し付けてくる。
「…い、たいよ」
「なんか、ムカつく…」
グリグリと押し付けるタオルに顔が歪んでしまいそうになる。
だけど、未来は一向に力を緩める気はないらしい。
「未来、痛い…って」
あまりの痛さに、未来の手首を掴むと。
「ゴメン、ゴメン」
慌てて力を緩めてくれる。
真っ暗だった視界に光が戻って。
あたしの目の前には腑に落ちないといった顔の未来がいた。
「ふふ、すごい顔…」
「比奈に言われたくないよ」
ムスッとする未来に、あたしはまた笑った。
「美佳がずっと海斗くんを狙ってたのには気づいてたけど…」
未来の言葉に、あたしはコクンと頷いた。
美佳が海斗のそばにいつもいることも知っていたし。
たびたび海斗と一緒に出掛けてることも知っていた。
だけど、美佳には他にも彼氏らしい男の人がいるって聞いたこともあったし。
実際、すごく年上の男の人と一緒にいるところを見たこともあった。
だから、なんとなく安心していたのかもしれない。