俺様彼氏はShy Boy?
離れていく心
「このままで本当にいいの?」
海斗と話すことも目を合わすこともなくなって、もう1ヵ月が過ぎようとしていた。
梅雨のこの時期。
お昼休みに行っていた中庭や屋上は雨が降っているせいで使えない。
だからか教室にいる人が多くて、あたしと未来も教室で過ごすことが多くなった。
「比奈は高藤先生が好きなの?」
「んぐっ…」
未来の突然すぎる質問に、ご飯を喉に詰まらせそうになった。
慌ててお茶で流し込むあたしを見て、未来は呆れたように眉を下げた。
「な、なに…いきなり」
「いきなりじゃないよ。ずっと聞こうと思ってたの」
未来はあたしを見ることなく、視線は後ろのほうへと向けられていた。
「嫌いじゃ、ないよ」
その先に誰がいるかなんて、聞かなくたってわかる。
最近、今まで以上に女遊びがひどくなったとか、ならないとか。
別れた今がチャンスだとか。
美佳が新しい彼女だとか。
そんな話が耳に入ってくる。
なるべく見ないようにしても、声だけは聞こえる。
海斗を取り囲む女の子達の声。
『また遊んでね』
『今度は二人で遊ぼうね』
『昨日は楽しかった』
海斗はあたしがいなくても、遊んでくれる女の子はたくさんいる。
あたし以外にも、海斗のことが好きだという子はたくさんいる。
…あたしのかわりは、たくさんいるんだ。