俺様彼氏はShy Boy?


その日の放課後。

未来は用があるからと、足早に帰っていった。


あたしはというと…担任に捕まって。


「保坂、暇だろ?」


そう言って押し付けられた教材。


「これから職員会議があるから、それを教材室へ返しておいてくれ」


頼んだぞ、と。

あたしの有無を聞かずに、そのまま慌てて教室を出て行く担任の背中を眺めて。


「…はぁ」


小さな溜息。

教室にはもうほとんどの生徒が残ってなくて。

この大量の教材を一人で運ぶのかと思ったら笑えてきた。


「…いったい、何往復すればいいのさ」


そうは言っても、そのまま置いて帰ることなんて出来なくて。

出来るだけたくさんの教材を手に持って。

前が良く見えないけれど、そのまま教室を出て行こうとした。


だけど、一歩教室から出たとたん。

両手の教材はあたしの手からヒョイッと取り上げられて。


「えっ…!?」


急に軽くなった手は不自然に上げたまま、ポカンと口を開けて。

左側へと視線を動かしていく。


< 269 / 479 >

この作品をシェア

pagetop