俺様彼氏はShy Boy?
「これ、どこ持っていくん?」
抑揚のない声。
その声に、バカみたいにドキドキした。
「おい、どこって聞いてんだけど?」
「あっ…教材室に、戻しておけ…って」
あたしの言葉を最後まで聞くこともなく。
あたしに背を向けて歩いていく後ろ姿を、ただ呆然と眺めているしか出来なかった。
「おい。他にもあるんだろ!?」
そう言って振り返り、鋭い視線があたしを捕らえる。
「先行くぞ」
「あ、えって、ちょっと待って!!」
慌ててほかの教材を手に持ち、その後ろ姿を追いかけて走るあたしを。
「おせぇよ」
そう悪態つきながらも待っててくれた。
そして、近づいたあたしからさらにいくつかの教材を奪ってく。
山盛りになった教材を文句言いながら歩いていく姿を呆然と眺めて。
ズキン、と胸が痛くなった。
だって、あたしの手にはほんの少しだけしか残ってない。