俺様彼氏はShy Boy?
失ったもの
しばらく呆然としたまま海斗が出て行ったドアを見つめ。
座り込んだままその場から動くことが出来なった。
無意識に自分の耳に触れて。
黒のピアスの存在を確かめていた。
それに気づいて慌てて手を下ろし。
ふうーっと溜息を吐いて、小さく頭を振った。
あたしの中のモヤモヤを追い払うように。
いつの間にか癖になってた、海斗の黒いピアスを触ること。
気づくと、いつも耳に手が行ってしまう。
「はぁーっ…」
あたしはもう一度溜息を吐いてから鞄を持ってノロノロした足取りで教室を出た。
天気が悪いせいで、廊下がやけに暗く思えた。
雨のため、外部活は今日は活動してなくて。
いつも聞こえる生徒たちの活気ある声もない。
シーンとしていて、湿気でジメジメした感じに嫌悪感を感じた。
まだ雨は降っているのだろうか。
廊下の窓から真っ黒な空を眺めて、そんなことを思う。
「…早く帰ろ」
時間もだいぶ遅くなったせいか、校内ですれ違う人もほとんどいなくて。
自分の足音がやけに響いて聞こえた。