俺様彼氏はShy Boy?
足早に玄関へと向かおうと階段へと差し掛かったとき。
薄暗いそこに人影を感じて、ビクッと身体を震わせながら思わず立ち止まる。
階段の手前の壁に寄りかかるようにして、誰かを待っているのか。
あたしの存在に気づくと、ゆっくりと顔を上げてあたしを睨みつける美佳がいた。
今はあまり会いたくなかったな。
なんて、決して声に出して言えないことを心の中で呟きながら通り過ぎようをしたあたしのところへ。
彼女は冷ややかな目をして、ゆっくりと近づいてくる。
いつもの自信満々な笑みはどこにもなくて。
イライラが隠しきれていないその歪んだ顔に、嫌な緊張が走った。
「……美佳」
あたしの少し震えた声は、階段に情けなく響いた。
氷のように冷たい視線があたしを捕らえて、その鋭さに思わず後ずさりそうになった7。
それを見た美佳はさらにあたしを睨みつけてくる。
これ以上なんだって言うんだ。
はっきり言って、もうあたしにはかまって欲しくなかった。
あたしから海斗を奪って。
あたしの口から海斗に別れを切り出させて。
海斗に『好きじゃない』とまで言わせて。
海斗の隣は、もうあたしの場所なんかじゃなくなってしまったのに。
……って。
嫌だな…あたし。
海斗とダメになったこと。
海斗に別れを切り出したこと。
全部、美佳のせいにしてる。