俺様彼氏はShy Boy?
温かな手のひら
「消毒してやるから、来いよ」
グッと掴まれた腕に、じりじりと熱を持つ。
無理やり立ち上がらされて、周りに散らばった荷物とあたしの腕を掴んだままで、ズンズン歩いていく。
その後ろ姿を、ぼんやりと眺めてながら引きずられるように歩いていった。
歩くたびに揺れる白衣を、ただ見つめるだけで。
何も言葉を発することなく、彼についていくだけだった。
「座れ」
保健室に入ると、掴んでいた腕を離して。
消毒液と絆創膏を持ってきて、あたしの前に現れた先生は少し眉間にシワを寄せた。
呆れたように息を吐いて、そのまま消毒液を含んだコットンで耳たぶを押さえた。
座れと言われたのに座らなかったあたしが悪いんだけど。
立ったまま先生と向かい合うと、思った以上に二人の距離が近すぎてどこを見たらいいのわからない。
目の前には先生のキレイな顔があって。
あたしの髪に左手で指を通す。
微かにしみる消毒液と、そのツーンとした匂いがあたしの瞳をまた潤ませた。