俺様彼氏はShy Boy?


「無駄でもなかったみたいだな」

「えっ…」

「ほら」


差し出された手。

先生の大きな手のひらには…黒く光るピアス。

キラリと光るオニキスのピアスがあった。


それを見た瞬間、再び涙が溢れ出す。

見つかった。

海斗にもらった大切なピアスが、戻ってきた。


「…あり、が…とう」


ピアスを受け取って、それを抱きしめるように手のひらに包み込んだ。

ギュッと抱きしめて。

子供みたいにボロボロと涙をこぼして、声を出して泣いた。


そんなあたしを見て、先生は優しく微笑んだ。


そんな顔、見たのは初めてで。

胸がドキドキして苦しかった。


「ほら、帰るぞ」


大きな手が、あたしの頭を撫でてくれる。

その手は、やっぱり温かかった。


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