俺様彼氏はShy Boy?
「案内してよ」
あたしを物色するような視線を向けたまま、そう言う。
ニヤッと嫌らしい笑みつきで。
「今、あたし一人なんで。ここを離れるわけにはいかないんです」
出来るだけ優しく聞こえるように、引きつる顔で笑みを作る。
頬がピクピクしてるの、この人たちは気がつかないのだろうか。
「じゃあ、待ってるよ」
「はい?」
「休憩、何時から?」
いやいや、待ってられても困るから。
あなたたちと一緒に行動なんて絶対に嫌だし。
「せっかく文化祭に来たんだからさ案内してよ」
何度、断っても。
いいじゃん。と話を聞いてくれなくて。
いい加減うんざりしてくる。
気づけば、彼ら以外に誰もいなくなったこの教室には、あたしたちの声だけが響いていた。
これだけの人がこの校内にいるのに、どうしてこの教室だけ誰もいないのか…
そんな疑問は、入り口に向けられた視線によってすぐに答えが出てしまう。
二つある入り口を、ガラの悪い男が立ち塞いでいるんだ。
そんな中へ入ってこようなんて、誰も思わないよね。
一人で納得して、何度目かわからない溜息の嵐。