俺様彼氏はShy Boy?


「好きになっちゃったんだよ、キミのことが」


何の感情もこもってない言葉。

そんな嘘だとわかるような言葉を鵜呑みにするような女の子がいるのかな。

だいだい、たいしてかっこ良くもないくせに。

かっこつけて、偉そうで、人の話なんて全然聞いてないで。

どんだけ自分に自信があるっていうの?


「あたしは好きじゃないです」

「おれが好きなんだからいいじゃん」

「だから、あたしは嫌いなんです」

「だから?」


だから? って…

はぁっ…と、本日一番の盛大な溜息。

もう、溜息を我慢する気も隠すつもりもない。


「そういう俺様なところも、偉そうなところも好きじゃないし。そういう人は嫌なんです。
それに、あなたとは正反対の優しい彼氏がいるんで、もうあたしに構わないでください」


彼氏なんていないけど。

この人みたいな自信過剰で偉そうで、バカっぽい人は好きじゃないのは確かで。

同じ俺様でも、海斗のほうがずっといい男だよ…

そんなことを思う自分が可笑しくて、また溜息出る。


いまだに掴まれてる腕を振り払おうと抵抗してみても、力を抜く気配すらなくて。


「ホント、いい加減…――」


離して!!

そう叫ぼうとしたときに。


「比奈の腕、離せよ!!」


そういう怒鳴り声が重なった。


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