俺様彼氏はShy Boy?
「次は、あっちに行こうよ!!」
あっちあっちと指差し、一人はしゃぐあたしを。
未来とミッチャンは、少し複雑な表情で見つめてて。
「元気なのはいいさ」
「そうだね、比奈には笑ってて欲しいし。でも…――」
――無理してるよね。
――無理してるな。
ミッチャンと未来の言葉が、重なる。
あたしにはその言葉は届かなくて、純粋に文化祭を楽しんでるつもりだったんだ。
でもね。
どんなに笑ってみても心の片隅には、チクチクと棘が刺さってて。
どんなに笑顔を作っても、その裏側はずっと靄がかかったみたいではっきりしなかった。
ミッチャンたちを待ってるときに。
チラリと見てしまった光景が頭から離れなくて、気が緩むとボーっとしてしまう。
見間違いかもって思った。
あんな人混みの中だもん。
そう自分に何度も言い聞かせてた。
でも、見間違えるはずがないんだ。
どんな人ごみの中でも、見つけられる自信だってある。
そんな自信なんていらないのに…と、自分でも苦笑いしてしまうくらい。
あの時、ミッチャンたちが手を振って駆け寄ってくる向こう側に見えたのは、確かに海斗だった。
みんなが歩いていく流れとは反対のほうへと歩いてく姿を見つけて、思わず『あっ…』と零してしまった言葉。
ミッチャンたちが来てから、いつも以上にずっとはしゃいでいたのも。
知らず知らずに沈んでしまいそうな気持ちを隠そうとしてたのかもしれない。