俺様彼氏はShy Boy?


「まあ、何もなくてよかったよ」


膨れっ面のあたしにククッと肩を震わせながら、その声は少しだけホッとしたように聞こえて。

ゆっくりと視線を先生に向けてみると。

そこにはなぜが、眉を下げ切なそうな表情の先生があたしの瞳に映り。

そんな先生を見てはいけないような気がして、慌てて視線を逸らすしかなかった。


どうしてそんな顔をするの…?

いつもほとんど感情を出すこともなくて仏頂面なのに。

どうして、そんなに切ない顔をするの?


そう聞くことなんて出来なくて。


「あたしなんかに、何かあるわけないじゃないですか」


必要以上に明るい声が、シーンとした保健室の中に響いた。


「おまえみたいなのでも、好きだって言う物好きもいるだろ?」


その先生の声は、さっきとはうって変わって。

いつものような人を馬鹿にしたようなそんな声色に、ホッとしてる自分がいた。

先生が優しいほうが心配になるって、どんだけいつも虐められているのだろう。


「おまえみたいな…って、ひどい」

「まめタヌキみたいだもんな」

「ま、まめ…―!?」

「そのわりに意外とモテるみたいだしな」

「な、なっ…」


まめタヌキとか、人を馬鹿にしたかと思えば。

意外とモテるとか、思ってもみない言葉をサラリと言ってくるし。

だいたい、あたしは今までモテたことなんてないって言うのに。

どこからそんな話を聞いたのか。


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