俺様彼氏はShy Boy?


このまま何も言わずに通り過ぎることだってできた。

でも、そんなのはなんだか不自然な気がして。

すれ違う前に、海斗を見上げて。


「こんなところで、どうしたの?」


ありきたりの言葉。

だけど、あたしにしては頑張ったほうだと思う。


陰になってよく見えない海斗の表情。

だからなのか、変に緊張することなく自然な感じで声をかけることができた。


たぶん、あの日から。

あたしから声をかけたのは初めてな気がする。


意外と落ち着いている自分に『やれば出来るじゃん』って、そう褒めてあげたいくらい。


「当番、サボったんだって?」


交代の時間になっても海斗が来ないって、クラスの男子が嘆いていた。

そのときにの彼の渋い顔を思い出してクスリと笑ってしまう。


「明日はちゃんとやりなよ」


何も答える気のない海斗にそう告げて。

そのまま通り過ぎる。


――予定だった。


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