俺様彼氏はShy Boy?


この場にいたくない。

逃げ出したい。


「比奈さんって、海斗の…――」
「あ、あたし、先に、教室に戻ってるね!!」


彼女の言葉に重ねるように、いつもよりも声を張り上げてる自分がなんだか情けなかった。

廊下に無様に響く自分の声に、苦笑して。


「じゃあ、ね」


もう、海斗の顔も彼女のことも見ることはできなかった。


クリクリの大きな瞳は、まだあたしを捕らえていて。

海斗は、そんな彼女のことを見ていた。


海斗のどこか不安で、どこか脆そうなその顔。

見たことなんてない。


逃げ出そうと右足を踏み込んだその時。


「比奈」


あたしの腕をまた掴んだ海斗。

その温もりが、あたしの心をグサグサと攻撃してくる。


やばっ…


不意に滲んでいく視界。

何、こんなところで泣きそうになるなんて。

バカみたい。


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