俺様彼氏はShy Boy?


「…離して」


グイッと力を込めて、海斗の手を振り払う。

その瞬間に、あたしの視界に入る込んできた海斗の表情。


海斗にも、あたしの顔が見えたのかもしれない。

涙で滲んだあたしの瞳を見えたのか。


「くそっ」


そう吐き捨てて、掴んでる手を離した。

あたしの胸に、またズキンと痛みが走る。


くそっ…て。

その言葉、痛いな…


何泣きそうになってんだよ。

めんどくせえ。


そう海斗の声が聞こえてきそうな気がして。

その言葉に傷つくのが怖くて。

あたしはその場からがむしゃらに走り去っていった。


海斗が何か言ったような気がしたけれど。

その言葉、あたしに届くことはなかったんだ。


< 362 / 479 >

この作品をシェア

pagetop