俺様彼氏はShy Boy?
だって、そのとおりだから。
未来に、海斗があたしを抱いてくれないと話したのだって。
1年たってからだったし。
今もまだ海斗のことに未練たっぷりだってこと、未来に言えないでいる。
「まぁ、それが比奈なんだけどさ」
未来の呆れた声。
視線はあたしじゃなくて、窓の外に向けられて。
未来の口許は微かに緩んでて、ヒラヒラと手を振っていた。
「充くんも、拓也くんも、もちろんあたしも。比奈のこと大切な友だちだってこと忘れないでね」
今もまだヒラヒラと手を振る。
未来の視線の先には、拓也くんとミッチャンがいた。
「…ねえ、未来。」
「ん?」
視線は拓也くんたちに向いたまま、その声はさっきと違って優しかった。
「あたしね。…まだ、海斗のことが好き」
「うん…」
「でもね、海斗には新しい彼女が出来たみたい」
「うん…」
「自分から別れたいって言っておいて、海斗に彼女が出来たことに傷ついてる自分がすごく嫌なの…」
「うん…」
「どこかで、海斗はまだあたしのこと好きでいてくれてるんじゃないかって自分勝手なこと思ってた。
あたしがもう少し素直なれたら、あたしがもう少し、海斗の言葉を聞く勇気がもてたら元に戻れるような気がしてた」
バカみたいでしょ?
そう言って、自嘲気味に笑うあたしを未来はゆっくりと首を左右に振った。