俺様彼氏はShy Boy?


だけど、あの日のことをなんとなく思い出すと。

朦朧とする意識の中。

微かに感じた海斗の香水の匂い…

でも、それは。

熱で頭がおかしくなってたから。

前の日のことで、海斗のことで、いっぱいだったからだって思ってた。

あたしの勝手な妄想で、願望だって思ってた。


ブンブンと勢いよく頭を振り出すあたしを、未来は怪訝そうに見つめていた。


そんなはずない。

だって…――


「須藤くんは、比奈が思っている以上に比奈のことわかってる。やっぱり…須藤くんは、まだ比奈のこと好きだと思う」

「そ、そんなはずない!! …だって、昨日だって彼女と一緒に仲良さそうにしてるの見たもん」


思わずそう叫んだあたしに『いつ見たの?』と首を傾げる。


「…ミッチャンたちを待ってるとき」

「あたし、全然気づかなかった」


それに、保健室の帰りに海斗と鉢合わせした時だって。

そこに彼女がやってきたことを未来に伝える。


「もう終わったんだって、諦めるしかないじゃん」

「だから、ピアスはずしたの?」


コクンと頷くと、未来は『そう…』と悲しそうに声を漏らした。


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