俺様彼氏はShy Boy?
前に進むために
勢いで海斗を探すと言って、ミッチャンたちと別れて。
あたしはあの非常階段へと向っていた。
海斗がいそうな場所なんて、ここ以外考えられない。
文化祭の今日は立ち入り禁止になっているし。
もともと、階段は古いし日当たりも良くないしで、滅多に人が来ることのない場所。
文化祭の賑やかな音から隔離されているようで、静かで少しもの悲しい感じがする非常階段を見上げて、大きく息を吸って気持ちを落ち着ける。
ここで何度も海斗とケンカして。
そのたびに、海斗のキスで丸め込まれて。
海斗が好きだと思い知らせれた場所だった。
きっと、そこに海斗がいる。
そう思って、ただ夢中でここまで来た。
目の前を妨害するようにたくさんの人がいて。
ハッピを着て呼び込みをしている生徒や、メイドの格好で呼び込みをしてる生徒。
この学校の制服以外にも、この近隣の高校の制服も目に入ってくる。
その中に、友だちと楽しそうに笑う未来を見つけた。
そんな未来を見て、ズキンっと胸に痛みが走った。
あたしがいなくても、未来は楽しそうに笑っていられる。
そう思うと、悲しくて悔しくて涙が滲んできた。