俺様彼氏はShy Boy?
「カラオケ、行く?」
少し呆れ気味の笑み。
でも、ポンと肩に触れる未来の手はとても温かくて。
「行く!」
「よーし。今日はいっぱい歌っちゃおう!」
あたしのストレスを発散する場所を作ってくれる。
「よーし!! 歌うぞ!」
両手を上げて大きく背伸びして、深呼吸もして。
満面の笑みで未来を見ると、それに答えるように未来も微笑む。
海斗のことはいつまでもウジウジしてても無駄だって思ってる。
今さら、って思うし。
そんな海斗を選んだのはあたし自身なのだから。
一線を越えない、って海斗と約束もしてある。
エッチはもちろんだけど、キスだってダメ。
そんなの当たり前のことだと思ってる。
あたしは海斗の“彼女”なんだもん。
いつも女の子に囲まれてて。
女の子の誘いを断らなくて。
そんな海斗を許してしまう自分も大概だと思うけど。
あたしが落ち込んだりイライラしたときにいつも行く駅前のカラオケボックス。
そこにたどり着くまでも、あたしの愚痴を未来はずっと聞いてくれた。
諦めてはいるけれど。
だけど、文句の一つや二つ、言ったっていいじゃない。
……一つや二つじゃ、ホントは治まらないけど。
未来にだけは、自分のこのモヤモヤする気持ちをぶつけることが出来るから。
あたしの心は、いつの間にか軽くなっていく。