俺様彼氏はShy Boy?
「今日は、一緒じゃないんだね」
海斗の顔を見ることなく、スカートの上でギュッと握られた拳を見ながら呟く。
「何が?」
あたしの問いに、何のことだかわからないといったような、ちょっと不機嫌な声が返ってくる。
「彼女」
昨日、保健室の前で会った彼女。
そう付け足して言うと。
「ああ…」
そんな簡単な答えしか返ってこなかった。
一緒にいないことへの肯定なのか。
彼女と言う言葉の肯定なのか。
どっちにしろ、海斗は否定することはなかった。
「自分こそ、優しい彼氏は…どうした?」
フッと鼻で笑われて、ズキンと胸が締め付けられる。
優しい彼氏…
昨日、思わす言ってしまった言葉。
そんなのいないよ。
そう否定することに意味があるのかわからなくて、あたしは黙ったままだった。
優しい彼氏。
その言葉で思い浮かぶのはやっぱり海斗なんだ。
意地悪だった。
傲慢だった。
いつも偉そうで、いつも人のことバカにして。
自分優先の俺様なのに。
「…もう、俺様はたくさん」
そう思うのに。
海斗じゃなくちゃダメとか、矛盾してる。