俺様彼氏はShy Boy?


「だから、優しい彼氏?」

「えっ…?」

「……今さら、だな」


それだけ言って急に立ち上がった海斗は。

何も言わずにそのまま階段を下りていこうとする。


空気が動いてフワッと香る香水に、バッと顔を上げて。


「待って!!」


気づいたときには、海斗のことを呼び止めていた。


どこ行くの?

まだ、ちゃんと話しできてない。

自分の気持ちを、伝えられてない…のに…


「何?」


冷たい声とともに、でも今度は振り返ってくれる。

前に放課後の教室で呼び止めたときは振り返ってくれなかったから。

海斗の顔が見えたとき、なんだか少し肩の力が抜けたような気がした。


「当番、呼びに来たんだろ?」

「えっ、あっ…」


そうだけど、そうじゃない。


「行くぞ」

「えっ…」

「笹木のとこでいい? 今、どこにいんの」


海斗の言っている意味がよくわからなくて。

座ったままポカンと口を開けてるあたしを、海斗はまたフッと意地悪そうに鼻で笑った。


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