俺様彼氏はShy Boy?
「一人でいたら、また絡まれるだろ? 笹木でも充んとこでもいいから、連れってってやるよ」
そう言って、あたしの前まで戻ってきたかと思うと。
グイッと引かれた腕。
そのまま海斗に引かれて、その場にバランスを崩しながら立ち上がった。
よろけるあたしを、反射的だったのかもしれない。
海斗は自分の胸に引き寄せていた。
だけどすぐにすごい勢いで突き飛ばされて、海斗は一人階段を下りていく。
「…こんなの、ずるいよ」
海斗が触れた温もりと、アクアマリンの香りが残る。
バクバクと暴れだした心臓は、あたしに呼吸の仕方を忘れさせた。
海斗の腕の力が。
海斗の香水の匂いが。
海斗の温もりが。
あたしの体温を上昇させていく。
今、きっと真っ赤な顔してるに違いない。
だけど、そんなあたしのことなんて知る由もなく。
海斗の後ろ姿がどんどん小さくなっていって。
慌てて海斗を追いかけた。