俺様彼氏はShy Boy?


やっと追いついたとき。

海斗はその場に立ち止まって、危うく背中に突っ込みそうになった。

それを堪えるようにあたしも歩みを止めると。


「今日の放課後、非常階段まで来い。…話がある」


振り返ることなくそう呟いて。

あたしの返事なんて待つことなく歩き出す。


「……話って」


何?

そう聞く勇気がなくて、そのまま言葉を飲み込んだ。


海斗の後をついて、中庭を抜けていくと。

そこは賑やかで、お祭り騒ぎの生徒たちが溢れかえっている。

揉みくちゃにされながら人混みを掻き分けて。

前を歩く海斗を見失わないように必死になって着いていくだけで精一杯。


「…ごめんなさい」


海斗の歩く速さについていけなくて、すれ違う人にぶつかっては頭を下げる自分がなんだか情けなかった。


「…ったく、なにやってんだよ」


イライラしたその声に、さらにあたしは小さくなっていく。

だって、海斗が歩くの早いから。

その後をついていくだけでやっとなんだもん。


前だったらそう言って、不貞腐れて海斗の背中をバシバシ叩いて。

もっとゆっくり歩いてよ。

そんなことも言えたのに……


「ゴメン」


今は俯いて、謝るしかできない。


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