俺様彼氏はShy Boy?
ミッチャンと拓也くんがあたしたちのほうへと走ってきて海斗と何か話していた。
だけど、今のあたしには何も聞こえては来なかった。
「比奈を一人にするなよ」
海斗が怖い顔をしてミッチャンにそう言ってたことも。
「ちゃんとおまえが見てろよ」
そう言ってミッチャンを睨みつけていたことも。
あたしにはまったく気がついていなかった。
ミッチャンにあたしを引き渡して、そのまま振り返ることなく歩いていってしまう海斗の後ろ姿を見つめたまま。
海斗の温もりがなくなった手のひらをギュッと握り締めて。
その場から動くことができなかった。
「話、できた?」
ミッチャンの言葉に、小さく首を振った。
でも視線は海斗から逸らせなくて。
泣いてしまわないように、きつく唇を噛み締める。
見つめる海斗の向こうから、笑顔で駆け寄る彼女の姿に。
海斗の腕にそっと触れる彼女の姿に、胸が痛くて仕方なかった。