俺様彼氏はShy Boy?


文化祭の終わりが近づいて来るにつれて、ソワソワと落ち着かなかった。

ずっと何かを考え込んでるあたしに、ミッチャンは少し切なく微笑んで。

ポンポンッと頭を撫でてくれる。


「ちゃんと、海斗にホントの気持ち伝えられるといいな」


そう言って、あたしを教室に送り届けた後、ミッチャンたちは自分のクラスへと戻っていった。


ミッチャンに小さく手を振って見送っていると、その向こうから未来が歩いてくるのが見えた。

何やらミッチャンたちと話をして、そのままあたしを方へと向かってくる。


「…未来」


あたしの声がまったく聞こえないかのように、あたしの隣を素通りしようとする未来を見ていたら苦しくて仕方なかった。

でも、無視されたっていい。


「今日、これから海斗と話する。もう、逃げないよ」


すれ違う瞬間、一瞬だけ未来の手に触れて。

その手を、未来も少しだけ握り返してくれる。


…未来、ありがとう。


そうやってまた、未来はあたしの背中を押してくれた。


未来に宣言したからには、もう覚悟を決めた。


海斗がどんな話をしたとしても。

あたしは海斗が好きだって、ちゃんと気持ちを伝えるんだって。

海斗にフラれたとしても、ちゃんと素直な気持ちをぶつけるって。


「よし!!」


気合を入れて、大きく深呼吸をする。

モヤモヤしてた心の中が、少しだけ明るくなった気がして。

前が見えなくて彷徨ってた気持ちが、今はハッキリと道筋が見える。


大丈夫。


ミッチャンが言ってくれたように。

今なら、本当にそう思える。


前に進むために。


今度こそ、逃げない。




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