俺様彼氏はShy Boy？

「もう、別れちゃえばいいのに」


冷めた瞳で、あたしを通り越して後ろの海斗を軽く睨みつけて。

呆れた声で、溜息まじりに呟く。


ごもっともです、未来さん。


「そうだよね……」


考えたことがないわけじゃない。

むしろ、いつもココロの片隅にある。


「ホント、別れよっかな」


あはは…と零れる笑みは、溜息として消えていく。


その直後。


ガタガターン……

不意に何かが倒れるような音がして、ビクッとするあたしたちは。
恐る恐るその音がした方へと視線を向けた。

教室の中がザワザワと騒がしくなり、他の人たちの視線を皆同じほうへと移って行く。


その視線の先にいるのは。

眉間にシワを寄せてすごい血相であたしを睨みつける、海斗の姿。

そのあまりの迫力に、一瞬で教室の中が静まり返った。


「別れない」


その声は、とても小さなものだったけれど。

シーンとした教室の中では、その声さえ響いて聞こえた。


……ああ、聞こえてたのね。