俺様彼氏はShy Boy?
「遅くならないうちに帰れよ」
そう言って、あたしの頭と海斗の頭をポンと撫でていく先生は、まるで、あたしたちの保護者みたいで。
それを素直に受け入れてる素直な海斗は、ずっと幼く見えてしまう。
「玲志」
「保坂のことは、海斗が一番よく知ってるはずだろ?」
先生の優しい顔。
今の海斗を見て、小さく頷きながら。
「なら、大丈夫だな」
それだけ言って、先生はあたしたちに背を向けた。
夕暮れ時の非常階段を下りていく先生の背中。
階段に響くカンカンカンという足音がだんだんと小さくなっていくのを聞いていた。
その足音が聞こえなくなった頃。
はぁ…と脱力された息が吐かれて。
海斗の腕があたしの肩を掴んで、二人の間にできた隙間に風が吹き抜ける。
ゆっくりと海斗を見上げれば。
そこには、真っ直ぐあたしを見つめる瞳。
風になびくあたしの髪が、目の前ににかかって視界を邪魔した。
そっと、その髪に海斗が触れて。
あたしの視界をクリアにしてくれた。