俺様彼氏はShy Boy?
「俺は…」
あたしを抱き締めている腕にグッと力が入る。
そのせいで海斗の胸に顔を押し潰されて窒息してしまいそうなほど、きつく抱き締められた。
少しもがいて、ゆっくりと顔を上に上げれば。
至近距離に、強張った表情の海斗がいる。
「……おまえが思ってるような男じゃない」
「思ってる…?」
「周りが騒ぐほどかっこよくもなければ、クールでもなんでもない、俺様どころか本当は…すげえ根暗で、優柔武断で、情けない男なんだ…」
それでも好きって言えんの?
そう言って、さっきよりも抱きしめる力が強くなる。
「どういう…こと?」
「比奈は高藤玲志みたいな男がいいんだろ?」
きつく抱きしめられた身体からは、声を発することができなかった。
身動き一つ出来ないほど。
きつくきつく、抱きしめられている。
「比奈が玲志がいいって、言ったから。俺は玲志みたいになりたかった。
比奈が、今度は優しい男がいいって言うなら…俺は、優しい男にだってなってやる」
「えっ…?」
「比奈が望むなら、どんな男にだってなってやる。比奈が俺から離れられないように、比奈の理想の男でいたいんだ…馬鹿かもしれないけど、そうすることでしか比奈を繋ぎとめていられる手段がわからない」