俺様彼氏はShy Boy?
「あたしね…海斗の無邪気な笑顔に惹かれたの。海斗の優しさに惹かれたの」
文句を言いながらも、いつも優しかった。
人と交わした約束は絶対に守ることも知ってた。
ちゃんと、人のことを見てるところも。
見た目と違って優しい人なんだなって。
本当は心の温かい人なんだろうなって。
「優しい彼氏なんて、ハッタリかましたのに。あたしの頭の中は海斗の顔しか浮かばなかった。あたしにとって“優しい彼氏”は…海斗でしかなかったよ」
「…比奈」
「別れたいって言ったのは自分なのに、元に戻れたらって…ずっと勝手なこと思ってた。
海斗の隣にあの可愛い彼女がいることわかってるのに…また、あたしのことを選んでくれるんじゃないかって、自分勝手なことを考えてたんだよ」
海斗を掴むあたしの手が、微かに震えてる。
怒りと、呆れとか、そんな感情があたしの中を支配して。
だけど、それは全部自分に対して抱いたものたち。
「そんな自分勝手でわがままで、海斗を振り回して傷つけちゃうようなあたしを…海斗だってまだ好きだって言えるの?」
さっきとは反対に、今度はこっちから問いかける。
「こんななあたしを、まだ好きでいてくれるの?」