俺様彼氏はShy Boy?


歪んでいく視界。

目の前にいるはずの海斗の顔が、涙の膜のせいでだんだん見えなくなっていく。


「あたしは、そんないい女じゃない」


力の入っていた自分の手がダランと落ちて。

みっともない顔を隠すように、視線を下に向けた。

唇を噛んで、必死に涙を堪えながら。

グダグダな自分が情けなくて自己嫌悪に陥っていると。


フワリ、空気が動いて。

あたしを爽やかなアクアマリンの香りが包み込む。

俯いたままのあたしに、海斗の温かい腕が回されたのがわかった。




「好きだよ」



優しい声までもあたしを包み込むように流れて。



「…比奈じゃなきゃ、ダメだ」



その優しすぎる声に、瞳に溜まった涙がポロポロと落ちていった。


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