俺様彼氏はShy Boy?


「アイツは元カノだけど、もともと幼なじみで。昔の情けない俺を知ってるから変に気を使う必要もないし。それに…俺が比奈にベタ惚れだって知ってて、だからからかって面白がってただけなんだ」


乱暴に吐き捨てられた言葉なのに。

その言葉を発した本人は、耳まで真っ赤にしていて。

バツが悪いのを隠すように、あたしを強引に抱きしめた。


「俺は絶対別れないって、言っただろ?」

「…海斗」

「ずっとずっと好きだったんだ。充と付き合ってる頃から、ずっと…な…」

「えっ…」

「初めて比奈に会ったのは1年のときだった。充と一緒にいる比奈に一目ぼれして、だけど充は親友で、だからすっげえ葛藤してた。幼なじみで親友の女を奪うなんて選択肢はなかったはずなのに、ずっと諦められなかった」


海斗のさっきの『なあ、覚えてる? 俺たちが、初めて会った日のこと』って言ったのは。

このときのことだったの?


「ゴメン…覚えてない」

「だろうな。っていうか、覚えてなくて当たり前なんだ。俺、今とは全然違ったから」


そう言って自嘲気味に笑う。


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