俺様彼氏はShy Boy?


「充と別れた後に、比奈が友だちと話してるのをたまたま聞いて。
玲志がタイプだっていうから、だから、玲志みたいになりたくて……そうしたら、少しは俺のこと気にかけてくれるかなって」


それが先生の言ってたことなんだ。

まさか、あのときの話を海斗が聞いていたなんて。

友だちとなんとなく話していたことなのに。

他に先生が思い浮かばなくて、適当に高藤先生の名前を言っただけなのに。


「玲志は俺の母親の弟で、だから真似することも簡単だった。真似する俺を見て馬鹿だろ? って何度も呆れながら言われたけど、玲志の真似してるうちに気持ちまで強くなったような気がして、違う自分を演じてることで、比奈にも話しかけることができたし。強引に比奈を連れて行くことも…」


それは、あの日のこと?

初めて、あたしたちが身体を重ねた日のこと。



「でも、すげえ後悔した…あんなカタチで比奈を抱いて、怖くなった」

「…後悔…って…」


下がりきった眉に、切ない瞳で。

フッとまた自嘲気味に笑みをこぼす海斗。


「俺、比奈が初めてだったんだ」


想像してなかった告白に、思わず零れた『えっ…』と言うあたしの間抜けな声。


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