俺様彼氏はShy Boy?


ミッチャンが見せてくれた写真を見て、思い出したんだ。

まだ、ミッチャンと付き合ってたころ。

一度だけ、ミッチャンの家に来た海斗と会ったことがあった。


確か、DVDを借りに来たとか言って。

あたしの顔を見るなり、俯いてしまった男の子。


ミッチャンが『ちょっと待ってて』と言って部屋に取りにいってる間。

玄関に取り残されたあたしと彼には会話なんて何もなくて。


とにかく、気まずい雰囲気に息苦しくなって。

なんとなくポケットに手を入れたときに中に入ってた一つのアメ。


その日、学校で友達にもらった、苺ミルク。


『…これ、食べますか?』


気まずいこの空気から、少しでも解放されたくて。

ニコリ笑って、苺ミルクを差し出すと。


『…どうも』


俯いているせいで長めの前髪に隠れてしまった瞳は見えることはなかったけれど。

ほんの少しだけ上がった口角に気がついて。

それがなんだか嬉しかったのを覚えてる。


それが海斗だったなんて、全然気がつかなかった。



一目惚れ…

海斗はあの日に、あたしのことを好きになってくれたの?


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