俺様彼氏はShy Boy?
「比奈? なんか顔がヤバいよ」
未来の怪訝な目は向いても、どうにも緩んだ口許は元には戻らないみたい。
「比奈?」
「ううん。なんでもない」
小さく首を振るあたしを見て、『変な比奈…』と呆れた声が聞こえてきた。
あたしも自分の席に着いて。
いつものように、前の席に未来が座る。
教室にいるときはいつも気になってた海斗の視線。
今も同じように感じて、そっと振り返ると。
そこにはふんぞり返る海斗はいなくて。
鞄だけ机に置くと、あたし達のほうへと近づいてくるのが見えた。
そして何も言わずに、ドカッと、あたしの隣の席に腰を下ろした。
「どうしたの?」
「いや、別に」
そう言うだけで、他には何も言ってくれなかった。
こんなふうに、教室の中でこんなに近くにいることなんてなかったから、ちょっと新鮮で。
次の席替えは、海斗の近くにならないかな…って考えてると。
「今日、俺んち寄ってけよ」
「えっ…?」
「渡したいものがあるんだ」
そう言って、あたしの耳たぶにそっと触れる。
その瞬間に、ゾクゾクと鳥肌が立って少しだけ体をよじってしまったあたしを見て。
ニヤリ、不敵な笑みを作る海斗だった。