俺様彼氏はShy Boy?


苦笑いのまま、さらに引きつったような気がするのは気のせいなんかじゃなくて。

否定もしてくれないってことは、海斗もうちのお母さんのことわかってるのだろう。


「だって、比奈そっくりじゃん」

「えっ、まじで」

「あはは、本気で嫌って顔だな」

「嫌だよ」


あたしはあんなにミーハーじゃない。

人の噂とか、誰がかっこいいとか、誰がモテるとか。

あたしがそういうことにまったく興味がないのは、母親のはしゃぐ姿を見てきたからかもなんて思ってしまう。

もう少し興味があったら、海斗が今みたいに変わったことにもう少し早く気づくことができたのかな…


なんて、いまさらなことを考えたって仕方ないんだけど。


「先に部屋行ってて」


そう言って、海斗はリビングへ向って歩いていくから。

一足先に階段を上がって海斗の部屋を目指す。


なんとなく足音を立てないように…そっと。

だって、この静かな家の中でドカドカと音を立ててはさすがに上がれない。

それに、久しぶりすぎてドキドキしてるっていうのもあるんだ。


あの日も、こうやってゆっくり静かに階段を上がって。

海斗の部屋の前で、いろんなことを考えて葛藤してたっけ……


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